インテリの話題本
21世紀の資本論、の批判本がようやく届いた。その名も"21世紀の資本論の問題点"。
節々にイラっとさせられるが(理由は後述)非常に読みやすい上に600円と安く大著の要約本としてオススメ。特に秀逸なのが700ページの原著を無理矢理数行に要約すると・・・の下り。こんな感じ↓↓
労働から得られる収益より資産が生み出す収益の方が成長率が高い事が判明した。これが資本主義の内包する決定的な欠点で格差社会の原因。収入と資産にグローバルな累進課税をしなければ!!
まず僕の解決策へのツッコミ。資本コストを上げるのは逆量的緩和。世界経済の大ブレーキになるのは間違いない。その分消費税も法人税もタバコ税もあれもこれも大幅カットしたらどうなるか分からないけどね!!
次に考えたいのはr>gの理由。経験則ではなく演繹的に、自分なりに考えたい。結論としては出来てない。rとgは消費者の立場からはトレードオフじゃないから。労働の方が稼げるならわざわざ投資なんかしないって、両方やれば良い。投資はキャピタルロスもあってリスクが高いから期待収益も高くなるべきとは思う。
トレードオフになっているのはIncome statement内でLabor CostとDividens、どちらに振り向けるか。経営者がより強く投資家から影響を受けるから利益配分がr>gとなる、自然に?
あとは世の中で信用創造が進み全体のBSが膨らむ毎にrの収益となる上にProductivity GrowthよりそれにLong & Short Term Debt Cycleを載っけた方が大きいからかな。長期的には両者は一緒なんだけどね。
そして、自分なりの解決策。それはこういう事を言わないこと。みんな貧乏な平等より小金持ちと大金持ちから成る不平等の方が良いに決まってる。新しい資本主義とか、資本主義の行き過ぎとか、全部感情論。自分は資本主義の、金融市場の力を信じている。万人が無数のアイデアを選別し資金を融通するプラットフォーム。騙し騙し、今の方式でやっていくのが良いんじゃないか。
さて、、、ここからがグチ。まずこれを読んで欲しい。
認知科学:情報処理の観点から知的システムと知能の性質を解明する学問。心理学、人工知能、人類学などの学際領域である??(wikipediaより)
作者のHideto Tomabechi氏の専門分野である。
多彩な分野にまたがる学問を専門とする事に強い違和感を感じる。が少なくとも経済とは関係なさそうだ。
21世紀の資本の問題点?彼の知識の足りなさの方がよほど問題だと思うのだが。
ワイドショーレベルの知識で学会で大成功したフランスの若者を罵るのは分不相応すぎるなと。
アメリカ一国より小さいのか世界は。日本ですら5兆ドル近くGDPあるっていうのに。こういう感覚が身についているのが教養だ。
タックスヘイブンから、悪い大金持ちか、もしくは政情不安定な発展途上国の富裕層の財産の隠し場所を想起しているのか。デラウェアとか100回ググっていただいたら良いかと。僕は法人税や金融取引の課税額が少ない国、地域が主だと理解してるが当然これらの地域にある資金は利回りを産む。
資産への累進課税は純資産にのみ課される?
総資産への課税ではレバレッジのかかった投資家達に酷だ、という理屈のようだがノーショナル一緒くたではなく資産クラス別に課税割合を決めれば良いのでは?大和総研から出てるバーゼル規制レポートをこちらも100回熟読してもらえば良いかと。
キリがない。
これが高齢化社会にはびこる老害なのか?単に能力が足りないだけ?他の本も読めば分かるんだろうけどやめておく。
21世紀の資本論のようにメッセージがシンプルな本って、それが故に穴が多いんだろう。けど、僕はそのシンプルさに敬意を評したい。シンプルさこそ優れた点だと信じる。グローバルで一律に累進資産課税するのは不可能、だなんてFeasibilityを論じ出すのは意地悪だ。
この人は好きになれそうにない。試みは面白いし使える本なんだけどね!
じゃあ、また。次はもっと早く更新しよう。